準備運動にストレッチは逆効果!?
ストレッチの常識も変わって行く
整形やトレーナーなどスポーツ、運動指導の世界では大分前から定説になっていた事ですが、意外と知られていないと思ったので今回ストレッチについて書こうと思います。
多くの人が、子供の頃に学校の体育や部活で準備運動としてストレッチをやっていたと思います。そしてそれがケガ防止になるとも教わったはずです。
しかし、現在ではそれが実は逆にケガのリスクを上げると言われている事を皆さんご存じでしょうか?
クライアントさんでも、運動前にちゃんとストレッチしたのにケガをしたと言う人もいたので、これを機に頭の片隅に入れてもらい、運動前の習慣を変えてもらえればと思います。
ストレッチの種類
一言にストレッチと言っても、幾つかの種類が有ります。
詳細に分けると色々有りますが、今回は大まかに2つを紹介したいと思います。
静的ストレッチ(Static Stretch: スタティックストレッチ)
反動をつけずに、ゆっくりとした動きまたは静止した状態で行うストレッチで、昔学校の体育の授業や部活でやっていた立位や長座での前屈、開脚での前屈などはこれに当たります。
皆さんがストレッチとして思いつくものの大半がこれに当たると思います。
これらのストレッチでは、主に腹式呼吸でゆっくりと行う事から副交感神経が優位になりリラックス効果が有るとされています。
もちろん、関節可動域が広がる、いわゆる「柔らかくなる」事にも効果が有るのですが、その分、筋力が低下し、関節の安定性も低下すると言う研究結果がたくさん出ています。
その事から今では運動前に行うと逆にケガをしやすくなるとも言われています。
したがって最近では静的ストレッチを行う場合は、運動前の準備運動では無く、運動後にクールダウン、整理運動として、または寝る前に行う方が良いとされているのです。
動的ストレッチ(Dynamic Stretch: ダイナミックストレッチ)
主に立った状態で動きながら行うストレッチで、反動を付け反復したり、関節を回転させたり、一方向でなく複数方向への動きを行うモノです。
身近なモノでは、テレビでサッカー選手が良くやっている所が映る「ブラジル体操」や、「ラジオ体操」も動的ストレッチと言えます。
この様に動きながら各関節を動かす事で、筋力や関節の安定性を損なう事無く、心拍数や血流を徐々に上げて行き、それにより関節の潤滑液の滑りも良くなり、スムーズに動ける様になっていきます。これらの事から準備運動、ウォーミングアップに適していると言われています。
しかし反動を付けて行う際に、勢いをつけすぎると、筋や腱、靭帯などを痛めてしまう可能性が有るので注意が必要です。
おすすめの準備運動
この記事を見て、これから運動前には動的ストレッチをしようと思ってくれた方は、では具体的にはどうすれば良いのか、と思うでしょう。
自分で好きなモノを選びたいと思う方は「動的ストレッチ おすすめ」で検索すると様々なやり方が写真や動画で出て来ます。その中で気に入ったもの、或いは競技別に選んでもらえれば良いと思います。
ところが、一般の方の中には、「何を基準に選んで良いかわからない」「そもそも動きを覚えるのが大変」と言う方が多いと思います。
そんな方々に私がおススメするのは、ズバリ「ラジオ体操」です。
夏休みにラジオ体操に通った記憶が有る方もいらっしゃるかも知れません。ラジオ体操は実は身体の全身を動かすと言う意味では実に良く考えられた運動なのです。
そしてラジオ体操を知らない日本人はほとんどいないのでは無いかと言うぐらい日本中に浸透しています。ですから新しく何かを覚える事無く運動前のウォーミングアップとして使えると言う意味では最適なのではないかと思います。
ただ動的ストレッチとして「ラジオ体操」を行う場合に気を付けて欲しい事が有ります。
- 始めは、反動や動作を小さく、徐々に大きくしていく
- 大きくする時は、出来るだけ手足を遠くに動かし、動きを止めない
- しっかり呼吸をしながら行う
- 前屈や回旋の時に反動を付けすぎない様にする(腰痛の場合は特に)
これらを意識して行ってもらうと、昔なんとなくやっていた「ラジオ体操」とはまた別物に感じるかも知れません。「ラジオ体操第一」は3分程度ですので、ウォーミングアップには足りないと思う方は2~3回繰り返すか、各パートを長めにやると良いと思います。
余裕のある方は最後に、小走りをする様に片足跳びを交互に行い、そのスピードや跳ぶ量を段々大きくしていくとさらに温まり、より準備が整うと思います。
ラジオ体操の動きを忘れたと言う方はコチラを参考にしてください。
ストレッチとロルフィング
ここまで静的ストレッチと動的ストレッチについて書いていきましたが、思い返せば私がロルフィングを知ったきっかけも、この様な「ストレッチ」の事を調べていた時でした。
最新のストレッチ情報が面白く色々調べているうちに「筋膜リリース」と言うキーワードに行き当たり、そこから筋膜リリースの事を色々調べていると、筋膜リリースの起源は「ロルフィング」で有る、と言う情報からロルフィングを初めて知りました。
ある意味ストレッチは自分のロルフィングの原点だったのだなと思います。
そんな自分が今、ロルファーとしてストレッチについてブログを書いているなんてなんだか感慨深いですね。
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